京都の経営者から、この言葉をよく聞きます。ツールの情報はいくらでも出てきますが、自社の業務に当てはめる部分は誰も教えてくれません。制度の一覧と、業務への当てはめ方の両方を並べます。
京都の中小企業は、AIを何から始めればいいですか?
選ぶ基準は3つあります。
- 毎週くり返している — 月1回の作業では、効果を実感する前に忘れます
- やり方が人によって変わらない — 人によってやり方が違う作業は、AIに渡してもうまくいきません
- 間違えても取り返しがつく — 見積書や契約書のような、誤りが即損失になる業務は後回しにします
この3つを満たす業務は、多くの会社で次のどれかに当てはまります。
- 打ち合わせや現場でのやりとりの記録づくり
- 問い合わせメールへの一次返信の下書き
- 写真とメモから、ブログや施工事例のページを作る作業
- 日報・報告書の要約
- 求人原稿や案内文の下書き
最初にやってはいけない進め方
社内で「AI推進担当」を任命して、その人に何をするか考えさせる進め方は止まります。担当者は本業を抱えたまま情報収集から始めることになり、比較検討で数か月が消えます。
いま困っている作業を先に1つ決めて、それから手段を探してください。順番を入れ替えるだけで、比較検討に消えていた数か月がまるごと不要になります。
京都でAI導入に使える補助金・支援制度にはどんなものがありますか?
| 制度名 | 対象 | 補助上限 | 補助率 | 令和8年度の募集期間 |
|---|---|---|---|---|
| 京都市デジタル化推進プロジェクト(デジタル導入枠) | 京都市内に主たる事務所または事業拠点を持つ中小企業等 | 40万円 | 5分の4以内 | 2026年2月24日〜5月29日17時必着(50社程度) |
| 京都市デジタル化推進プロジェクト(デジタル展開枠) | 同上 | 100万円 | 3分の2以内 | 同上(150社程度) |
| 京都市AI・ロボティクス導入支援PoC補助金 | 京都市内に主たる事業所または事業拠点を持つ中小企業等 | 200万円(税抜) | 3分の2以内 | 2026年7月3日〜7月31日17時 |
| 京都市DXモデル構築プロジェクト | 京都市内に主たる事務所または事業拠点を持つ中小企業等 | 300万円 | 2分の1以内 | 2026年4月10日〜6月12日(5社+追加5社) |
| グローバル展開支援中堅企業創出プロジェクト(京都市DXによる生産性向上支援事業) | 京都市内で製造業を営む中小企業 | 500万円 | 2分の1以内 | 2026年5月11日〜6月30日17時(3社) |
※ 表は横にスクロールできます
出典はいずれも京都市の公式ページです。
- 令和8年度「京都市デジタル化推進プロジェクト」支援対象者の募集
- 令和8年度 京都市AI・ロボティクス導入支援PoC補助金の募集開始
- 令和8年度「京都市DXモデル構築プロジェクト」支援対象者の募集
- 令和8年度グローバル展開支援中堅企業創出プロジェクト(京都市DXによる生産性向上支援事業)
国の制度も併せて確認してください
国の「IT導入補助金」は、2026年からデジタル化・AI導入補助金(正式名称:中小企業デジタル化・AI導入支援事業費補助金)に名称が変わりました。AIを含むITツールの導入が対象で、公募は年度内に複数回あります。最新の枠と締切は公式サイトで確認してください。
制度を選ぶときに見るべき点
補助率と上限額だけで選ばないほうがいいです。京都市の制度は、上限が小さいものほど専門家の派遣がセットになっています。何をすべきか決まっていない段階では、金額の大きさより、計画づくりを手伝ってもらえるかどうかで選ぶほうが前に進みます。
京都でAIについて無料で相談できる窓口はありますか?
京都市の補助金についての相談は、公益財団法人京都高度技術研究所(ASTEM)が窓口になっている制度が複数あります。AI・ロボティクス導入支援PoC補助金とDXモデル構築プロジェクトは、いずれもASTEMが運営事務局です。
- 京都AI協会(AI導入の無料相談)
- 京都市デジタル化推進プロジェクト事務局(電話 075-746-6868)
- 京都市DXモデル構築プロジェクト運営事務局/ASTEM(電話 075-315-3708)
公的な窓口は制度の説明と計画づくりに強く、実際にツールを組んで動かすところは範囲外になることが多いです。相談先を選ぶときは、どこまでやってもらえるのかを最初に確認しておくと、二度手間になりません。
AI導入で最初に成果が出るのは、どの業務ですか?
| 業種 | 時間が減りやすい作業 |
|---|---|
| 工務店・リフォーム | 現場写真とメモから施工事例ページを作る、見積り依頼への一次返信 |
| クリニック・歯科 | 院内の掲示物や案内文の作成、求人原稿の下書き、問い合わせへの定型返信 |
| 美容室・サロン | 予約前の質問への返信、キャンペーン告知文、スタッフ紹介の原稿 |
| 士業 | 面談記録の要約、資料の下読み、案内文の作成 |
| 製造業 | 日報の集約と要約、作業手順書の整備、社内問い合わせの回答 |
| 小売・飲食 | メニューや商品説明の作成、口コミへの返信の下書き |
いずれも共通しているのは、現場の人が「話せば説明できるのに、文章にする時間がない」作業だという点です。この作業をAIに渡すと、現場の負担を増やさずに発信量が増えます。
実際にどんな仕組みが作れますか?
LINEに写真と音声を送るとブログの下書きができる仕組み
- 現場でスマホから、写真数枚と音声メモをLINEに送る
- 音声が自動で文字起こしされる
- 写真の内容をAIが読み取り、本文とキャプションを組み立てる
- WordPressに下書きとして保存される
- 人が最終確認して公開する
現場ですることは、写真を撮って一言しゃべることだけです。文章を書く工程が消えます。
前月の投稿データから次の企画を出す仕組み
投稿ごとの保存数や再生数をまとめて読み込ませ、伸びた投稿の共通点を抽出させます。人が数字を眺めて仮説を立てる時間が、大きく減ります。
AI導入がうまくいかない会社には、どんな共通点がありますか?
1. 現場が使う場面を決めていない
「全社でChatGPTを使えるようにしました」で終わっている会社は多いです。アカウントを配っただけでは、現場は普段どおりのやり方を続けます。「この作業のときは、この手順で使う」まで決めて初めて定着します。
2. 時間を計っていない
導入前に何分かかっていた作業が、導入後に何分になったのか。これを測っていないと、続けるかどうかの判断ができません。ストップウォッチで2回計るだけで構いません。数字があると、社内の反対意見にも答えられます。
3. AIに入れてはいけない情報を決めていない
3つ目は、うまくいく・いかない以前の話です。顧客の個人情報、患者の情報、契約内容、未公開の売上データは、外部のAIサービスにそのまま入れないでください。何を入れてよくて何がだめかを、A4一枚のルールにして共有しておくことをおすすめします。
自社でやるか、外注するか、どう決めればいいですか?
| 自社でやる | 最初だけ外注 | すべて外注 | |
|---|---|---|---|
| 初期の社内工数 | 月10〜20時間 | 月2〜4時間 | 月1時間 |
| 費用 | ツール代のみ | 構築費+ツール代 | 月額費用 |
| 立ち上がりの速さ | 遅い | 速い | 速い |
| 社内にノウハウが残るか | 残る | 残る | 残りにくい |
| 向いている会社 | 触れる人がいる | 最初の一歩で止まっている | 継続的に増やしたい |
私が多くの会社にすすめているのは、真ん中の「最初だけ外注」です。1つ目の仕組みを一緒に作って、動くところまで確認したら、2つ目からは社内で増やしていく形です。この進め方だと、外注費は初回に集中し、その後は社内で回せます。
すべてを外に出す形は、担当者を置けない会社には合います。ただし社内にやり方が残らないので、長く続けるつもりなら、いつ社内に引き取るのかを契約の時点で決めておいてください。
費用はどれくらいかかりますか?
- ツール利用料:1人あたり月2,000〜4,000円(ChatGPT、Claude、Geminiなどの有料プラン)
- 構築費:既存サービスをつなぐ範囲なら10万円台から。独自開発が必要なら数十万円以上
- 運用・改善:月額で伴走を頼む場合、月5万〜20万円程度
金額の話をするとき、多くの会社が構築費だけを見ます。しかし判断の材料になるのは、その仕組みで毎月何時間が浮くかです。月10時間が浮く仕組みなら、時給2,500円換算で月25,000円の価値があります。1年で30万円です。この計算をしてから金額を見ると、判断がぶれません。
よくある質問
まとめ
- 出発点は、毎週1時間以上かかっている手作業を1つ決めることです。ツール選びはそのあとで間に合います
- 京都市には上限40万円から500万円までの支援制度が5つあり、上限が小さいものほど専門家の派遣がセットになっています
- 2026年9月時点で令和8年度の京都市の募集は終了しています。次年度の公募は例年2月から7月にかけて始まります
- 京都AI協会が、AI導入の相談を無料で受け付けています
- 最初に成果が出るのは「話した言葉や撮った写真を、読める文章にする」工程です
- うまくいかない会社は、使う場面を決めず、時間を計らず、入れてはいけない情報を決めていません
- 進め方は「最初の1つだけ外注し、2つ目から社内で増やす」形をおすすめしています